ロータリーミキサーは損して得を取るべき?
ロータリーミキサーを実際に触らずに購入することは、ある意味賭けといえる行為ですが、他に選択肢がないために多くの人がそうしていることでしょう。
しかし、ロータリーミキサーを実際に触ってみると、当初思い描いていたイメージと全く違う印象になることもあります。
ロータリーミキサーを選ぶ際に、有名なDJが使っているから、多くのクラブで導入されているから、Youtubeで良い感じだったから、といった選び方は本来好ましくなく、「自分の好みの音、操作感で良いプレイが行えるかどうか」これが全てであり、実際に触ってみることでしか気付けないことが多くあります。
どこかで一度でも生のロータリーミキサーの音を聴いたことがある人なら、「そうそう」とうなづいてもらえる話なのですが、生のロータリーミキサーの音っていうのは感動するレベルなんですよね。
しかし、インターネット上で聴ける音というのは、色々なプロセスを経てしまっているので、音が劣化して本当の感動を得ることが出来ないのです。
それが当店がレンタルショップを始めた理由の一つであり、ご利用頂くことで「損をして得を取る」ことが出来ると考えています。
今回はロータリーミキサーを実際に触ることで気付ける5つのことをご紹介します。
実際に触ってみて分かる5つのこと
自分のDJプレイにロータリーミキサーが必要なのかどうか
ロータリーミキサーはその独特の「カッコ良さ」によって、一度興味を持つと自分の都合の良い方向にバイアスが掛かりがちです。
縦フェーダーのミキサーではなく、ロータリーミキサーが本当に自分に必要なのか、自分のプレイスタイルに合うのかどうかを確認する必要があります。
例えば、
- カットインをよく使う
- トリッキーなプレイを好む
- エフェクターを多用する
- Hot Cueやドラムパッドやサンプラーなどをよく使う
などのプレイスタイルの人は、そのような機能が搭載されたミキサーを使うべきです。
一方、
- スムーズなミックス
- 音質で聴かせるようなジャンル
- 音に没頭する
- ある程度の時間を掛けてフロアを盛り上げる
- 人と違うことをしたい
などであれば、ロータリーミキサーが向いているかもしれません。
実際にロータリーミキサーを使って普段通りにプレイしてみることで、現在自分が使っているミキサーと何が違い、どのような価値を自分に与えてくれるのかどうかを詳しく知ることが出来ます。
音質
全てのロータリーミキサーが一律で素晴らしいわけではなく、メーカー、機種によってはあまり良くないものもあるのは至極当然です。
YoutubeやSoundcloudなどは雰囲気を知ることが出来ますが、本当のロータリーミキサーの音まではわかりません。
例えば、ターンテーブルなどの再生機、針、ケーブルなどの機材やセッティングで音は簡単に変わり、単純な比較が出来ないためです。
さらに実際の音は、
再生機(レコードやCDJなど)→ ロータリーミキサー → スピーカーという最短経路でリスナーの耳に届きますが、
動画サイトなどにアップされた音は、
再生機(レコードやCDJなど)→ ロータリーミキサー → オーディオインターフェース → ソフトウェア(DAWでmp3変換または動画編集ソフトでmp4などに変換)→ Youtubeアップ → スピーカー
という経路を通っています。
多くの機材、ソフトウェアを通過し、AD/DA変換、圧縮が行われるので音が違って当然です。
また、それぞれのロータリーミキサーはプレイする音楽によっても聴こえ方が異なります。
この曲はAのミキサーが良いけど、あの曲はBのミキサーが良く聴こえるなんてことは往々にしてあります。
自分のプレイするDJスタイルに合ったミキサーを選べるとベストです。
EQ、アイソレーターの操作感
EQ、アイソレーター部分はまさに触ってみないと分からない代表的な部分です。
メーカーごとに周波数のセッティングが全然違い、3バンドではなく、ハイとローの2バンドしかないミキサーもあります。
ツマミを回した感じで言えば、軽めの感触のものもあれば、しっかりとした感触のものもあります。
ずっと触っていられるくらい気持ちの良いEQ、アイソレーターもあれば、ミキサーの音質は良いのに、EQ、アイソレーターが操作していて全然気持ち良い音にならないものもあります。
もし、自分の好みでなかった場合、ロータリーミキサーは数十万するため、失敗したことを認めたくないあまり、自分を騙して使い続ける可能性があります。
それだけなら良いですが、EQ、アイソレーター部分はミックスのクオリティにも非常に関わってくるため、相性が悪いと単純にミックスが下手に聴こえてしまい、自分の評価を下げてしまう危険性もあります。
ヘッドホン・セクションの相性
DJプレイにおいて、ヘッドホン・セクションはかなり重要な部分になります。
CUEとMASTERのバランス感や、同時にCUEに出せるチャンネル数、片耳ずつCUEとMASTERを分割出来るミキサーなど、各々違いがあります。
チャンネルの選び方もダイヤル式であったり、ボタン式であったりと、慣れの部分もありますが、相性が良くないと非常にやりづらさを感じてしまうこともあります。
また、CUEの音量をVUメーター、もしくはピークメーターで事前に確認出来るものと、そうでないものがあり、後者の場合、マスターに音を出してみるまで音量感がわからないので新譜や旧譜など音圧が違う場合に音量調節が若干難しくなります。
長所と短所を知ることが出来る
ロータリーミキサーには各メーカーごとに特色があります。
例えば、
- 外観がかっこいい
- 真空管搭載
- アイソレーターのクロスオーバーが変更出来る
- アイソレーターのオン・オフが出来る
- ツマミに高級感がある
- USB接続でDJソフトが使える
- オーディオインターフェース機能がある
- 通すだけで気持ち良くなる
- 曲の混ざりが良い
- ボリュームだけでなくトリムが付いている
という長所や、
- ヘッドホン・ボリュームが大きすぎる
- 通すだけでグルーヴが変わってしまう
- EQが貧弱
- アイソレーターが気持ち良くない
- ツマミがショボい
- 音は良いが踊れない音
- エフェクターが使えない、またはエフェクターのシグナル・パスが良くない
- 曲の混ざりが悪い
- VUメーターが当てにならない
といった短所があったりします。
多くのロータリーミキサーは上記のような長所と短所が色々と組み合わさっているため、自分が何を重視しているかでベストなチョイスが変わってきます。