ロータリーミキサーに合うケーブルはどれだ?

音楽に凝りだすと必ずケーブル選びという難問にぶつかりますよね。

きっかけはデジタル音源でロータリーミキサーを使った動画をアップしようと考えたことからです。

レコードでのDJプレイを撮影したYoutube動画はアップしていましたが、デジタル音源でロータリーミキサーを使った動画はアップしていなかったのです。

当然、デジタル音源でロータリーミキサーの撮影をしたことはなかったので、出音に関して何も考えずに、レコード時のセッテイングそのままでも大きな問題は起きないだろうと甘く考えていました。

 

しかし、実際に撮影を終えて、Youtubeにアップしてみると大きな問題が出てきたのです。

それでも、7つのロータリーミキサーで撮り終えてしまっていたので、撮り直すのも面倒だし、何日かはそのままにしておきました。

しかし、もやもやが収まらなかったので結局削除することになりました。

 

そうしたこともあり、一度真剣にロータリーミキサーに合うケーブルはどれなのか考えてみようと思ったわけです。

 

リスニング環境、耳の状態、音の好みなど人によって様々な違いがありますので、今回の検証が絶対的な正解というものではありませんが、迷った際の一つの参考になればと思います。

 

ロータリーミキサーに合うケーブル

 

結論から先に言うと、ロータリーミキサーに合うケーブルはMogami2534、または条件付きでBelden8412になります。

厳密にいうとベストなケーブルはプレイする環境と音楽によって変わるのですが、どの環境、どの音楽でも平均以上に満足できるという意味で上記の2本が挙げられます。

「ロータリーミキサーだから特別なケーブルが合う」ということもなく、結局のところ音楽スタジオで定番と言われるケーブルが一番しっくりくるという結果でした。

その理由を述べていきたいと思います。

 

レコードかデジタル音源かで変わった印象

 

レコードはデジタル音源に比べて、高域が少し減衰していることが多いため、ハイ上がりで派手目なケーブルでも帳尻があって良い感じになることがあります。

例えば、Oyaideのケーブルは超高域が上がって派手な特徴のケーブルが多いです。

ヴァイナルオンリーでYoutube撮影をした時も、ケーブルをOyaideのPA-02にしていた時もあり、レコードの音質によっては多少音が硬く感じられることもありましたが、許容範囲であり、解像度の高さを優先して概ね満足していました。

そのため、デジタル音源を再生する場合もOyaide PA-02でも大きな問題にはならないだろうと軽く考えていました。

しかし、実際に撮影してYoutubeにアップしてみると、妙に高域が刺さって耳に痛いではありませんか。

 

「なぜアップするまで気づかなかったのか?」

情けない限りですが、以下のような部分が原因だと思います。

 

  • モニタースピーカーで聴くと低音によってマスキングされて緩和されていた
  • DJミックスに集中していたので、あまりその辺りを気にしていなかった
  • DJ時はヘッドホンで比較的大きい音量で聴くので耳がバカになっていて、そのまま動画編集をしていたので気付かなかった
  • Youtubeにアップされたものをスマホで確認することで低域がなくなり高域が強調されるので気づきやすくなった

 

このような失敗があり、デジタル音源でもうまく鳴るケーブルを探そうと持っているケーブルを総動員し比較してみることになりました。

 

ケーブルを比較するにあたって

音源や再生環境によりけりと言う部分もありますが、スタンダードとして常時接続にふさわしいのはどれかという目線で比較してみました。

比較するにあたり、プレーヤーはDenon DJ SC6000、ミキサーに色付けの少ないIsonoe ISO420を使いました。

また、フラットなモニター環境を得るためにDAWのプラグインとしてSonarworks Referenceを使っています。

 

 

モニター環境が違うと印象が変わることは普通ですので、もし違う印象を持ったとしても問題はありません。

Sonarworks ReferenceやARC Systemなどの音場補正プラグインをお持ちの場合は、オンにした状態で聴き比べることを推奨します。

アップロードしている音源はmp3ですので、結構ニュアンスが変わってしまっているものもあります。

また、リファレンスとなるオリジナルmp3ファイルと、ロータリーミキサーを通したmp3ファイルを比較した際、オリジナルファイルの音が良く聴こえるのは間違いではありません。

オリジナルファイルはパソコン上で直接mp3に変換されているため、無駄なDA変換、AD変換による信号ロスがないからです。

一方、ロータリーミキサーに音を通し、パソコンに音を取り込むためには、メディアプレイヤー(今回ならDenon DJ SC6000)によるDA変換、オーディオインターフェースによるAD変換という二度の変換処理が行われるため音質劣化があるのは当然です。

オリジナルファイルと比べることで、ロータリーミキサーを通すと音が悪くなるという誤った解釈をしないように気を付けなければなりません。

 

Mogami 2534 vs Belden 8412

Oyaide PA-02は前述したように超高域が持ち上がるという特徴があり、解像度が上がるため短時間のリスニングだと印象に残ります。

しかし、再生機によっては高域が出過ぎてしまうため、スタンダードとして使うには問題がありました。

Canare L4E6Sは、Mogami、Beldenに比べるとフラットではなく音がぼやけ、やや面白味に欠ける印象でこちらもスタンダードとしては難しいです。

その他にもMogami 2549、Cordialも試してみましたが、いづれもスタンダードとしては厳しいと感じました。

最終的にMogami 2534とBelden 8412が残りましたが、この2本に共通して言えることは概ねフラットであり、音に芯があって、レスポンスが早いです。

 

Belden 8412はパワーがあり、ローとハイが少し強調されて派手にはなりますが、フラットに近い印象です。

Oyaideより低い位置でハイが上がっており、ノリがよく聴こえる印象です。

たまにBelden8412はハイが落ちているというのを見かけますが、それは誤りだと考えています。

おそらく低域も強調されているので相対的に音源によってはハイが落ちているように聴こえるのでしょう。

 

Mogami 2534はBelden 8412よりもさらにフラットに近い印象ですが、その分おとなしく感じられがちで、パッと聴いた感じではBelden 8412の方が印象が良く聞こえます。

しかし、Mogami 2534は長く聴ける音と言いますか、特に最近の音楽はローからハイまで詰まった派手な音が多いですから、Mogami 2534の方が最終的には良いのではと感じるようになりました。

後述しますが、再生環境のことも踏まえた時、まずはMogami 2534を試してみるのが良いという結論に達しました。

それで満足出来ない感じであればBelden 8412を試すのが良いでしょう。

 

再生機(タンテやCDJなど)のケーブルは付属のものか、Mogamiを使うべし

 

では、なぜBelden 8412が第一選択ではないのか?

1つのケーブルでDJミキサーからスピーカーに直接繋げて再生するだけなら、プレイする機器や音源に合わせてケーブルを選べば良いだけです。

この場合はBelden 8412や、時としてOyaide PA-02が第一選択となる可能性もありえます。

しかし、オーディオインターフェースを介してモニタースピーカーに繋いでいる場合や、レコードプレーヤーやCDJなどの再生機のケーブルが交換出来るタイプだった場合など、ケーブルを1つではなく複数使う場合は注意が必要です。

フラットではないケーブルを複数箇所で組み合わせるのは要注意

 

例えば、「高域が強調されるタイプのケーブル」をレコードプレーヤーや、CDJなどの再生機のケーブルにも使って、さらにDJミキサーのメインケーブルに使った場合、二重に高域が上がってしまいます。

再生機のケーブルで一度高域が上がって、ミキサーのメインケーブルでもう一度高域が上がり、結果とても耳に負担がかかる音になります。

特に解像度の高いミキサーを使った場合、勢いはありますがキツイ音が目立つようになります。

 

 

元の曲(元のファイルをDAWでなるべく音量を合わせて書き出したもの)

 

 

Belden8412とBelden8412の組み合わせ(ノリは良いが長時間聴いているとハイが少し気になってくる)

 

Belden8412とOyaide PA-02 V2の組み合わせ(解像度は高いがこちらもハイがキツくなってくる)

 

 

短い時間なら気になりませんが、長い時間聴いていると、高域が強調されている音は耳が疲れてつらくなってきます。

ダンスミュージックは基本的にミックスされて長い時間聴くことを前提とするので、その辺りを考慮する必要があります。

そのため、メインケーブル側に「ハイ上がりなど、フラットではないタイプのケーブル」を使いたい場合は、再生機側のケーブルとしてMogami 2534か、付属している標準のケーブルを選ぶべきであると言えます。

※付属ケーブルはそのケーブルを基に機材が調整されている可能性もあり、解像度は高くありませんが、フラットな特性、またはどこかの帯域が減衰しているものが多く、組み合わせることで中和してくれる可能性があります。

 

 

元の曲(元のファイルをDAWでなるべく音量を合わせて書き出したもの)

 

 

Belden8412とMogami2534の組み合わせ(beldenで上がったハイをmogamiがうまく中和してくれるが、少しノリが良くない)

 

Belden8412とDenon DJ SC6000付属ケーブルの組み合わせ(mogamiとはまた違う中和感、少しハイ上がり)

 

 

Belden 8412は少しではありますが、ロー、ハイともに強調されていますので、複数箇所で使った場合、足されて高域がキツくなりがちです。

Mogami 2534の場合はむしろ、ややハイが減衰するので複数箇所で使ってもキツイ音になりづらいということです。※ただし、Mogami 2534同士を組み合わせるとハイが減衰した結果、中高域が強く感じられたり、低域が重苦しく感じられることが結構ありますので、その場合はMogami 2534と付属ケーブル、またはBelden8412との組み合わせなどを試してみると良いでしょう。

 

 

元の曲(元のファイルをDAWでなるべく音量を合わせて書き出したもの)

 

 

Mogami2534とMogami2534の組み合わせ(今回の例では低域と中域が少し強いかも)

 

Mogami2534とDenon DJ SC6000付属ケーブルの組み合わせ(少し解像度が低いけどナチュラルな感じ)
 

 

いかがでしょう?

今回の例ではMogami 2534と付属ケーブルの組み合わせが良かったように感じます。

高域の強調された音よりも高域が減衰された音の方がまだ聴きやすいため、Mogami 2534を基準にすることで、高域が出過ぎるという危険を防ぐことができます。

これがスタンダードとして、Belden 8412よりもMogami 2534を第一選択として使うのに適している理由です。

割とフラットな特性のBelden 8412ですら、複数箇所での組み合わせだと少々耳につく音になるのであれば、さらにハイエンドが強調されたケーブルを複数組み合わせて使った場合、恐ろしい結果になることは想像がつきます。

 

まとめ

今回は当店が失敗した経験からロータリーミキサーでのケーブルについて考察してみました。

厳密にいうとベストなケーブルはプレイする環境(機材)と音楽によって変わるのですが、DJは多様な音楽を長時間に渡って流すことになるので、都度ケーブルの交換をするのは現実的ではありません。

そのため、どんな環境にもある程度マッチするようなケーブルが求められます。

また、ケーブルの接続ポイントが増える可能性があることを想定し、なるべくフラットであり高域が強調されるタイプではないものを基準として選ぶ必要があります。

複数のケーブルを使う時は下記4つの組み合わせのいづれかで、良い結果になるでしょう。

 

  1. Mogami 2534(メインケーブル) × 付属の純正ケーブル(再生機)
  2. Mogami 2534(メインケーブル) × Mogami 2534(再生機)
  3. Belden 8412(メインケーブル) × 付属の純正ケーブル(再生機)
  4. Belden 8412(メインケーブル) × Mogami 2534(再生機)※あまりおすすめではない

 

電源ケーブル、電源タップ、トランス電源などを使う場合についてもケーブルと同様に考えていけば良いですね。

基本はなるべくフラットなものを使って、もし、フラットではないハイ上がりの音質のものを使いたい場合は、他の箇所(メインケーブルや再生機)にMogami2534などのフラットな製品やメーカー付属の純正品を試してみるということです。

(余談ですが、テクニクスのターンテーブルの場合も付属のケーブルとMogami2534を使うのが一番フラットでした。)

 

有名で高価なケーブルであってもフラットであるという保証はありません。むしろ個人的にはハイ上がりな製品が多いと思っています。

時間とお金をかけて探せば、Mogami 2534よりもフラットなケーブルは見つかるかも知れませんが、その時間をDJプレイを向上させるための努力に使った方が有意義かもしれません。

 

ケーブル購入時の注意点としては、プラグやハンダといった使う材料や製作者の技術によってケーブルの音は変わります。

同じ名前のケーブルでも質が全然違ってきますので、評判の良いお店から直接購入するようにしましょう。