ロータリーミキサー音質比較

ロータリーミキサー音質比較

ロータリーミキサーはアナログであるゆえに、クリアさで比べるとデジタルミキサーには敵いません。しかし、クリアさと引き換えに人が心地よく感じる音の成分が加えられます。

ロータリーミキサーは職人の感性によってチューニングされているため、それぞれ作りも違えば音も違います。ハイがよく聴こえるものだったり、ローが豊かなものだったり、サチュレーションが加えられるものだったりと様々です。そのため、ミキサーの特性により、プレイする曲によってはAのミキサーが良く聴こえたり、また違う曲ではBのミキサーが良く聴こえたりするということもあります。

ロータリーミキサーはダンスミュージックで踊ることを前提に制作されていますので、耳で比較するだけでなく、ダンスしながら聴くと違いがよくわかります。

当店にあるロータリーミキサーを比較して感じたことを記していきたいと思います。

[2024年9月追記]

比較動画をyoutubeにアップしました。

ロータリミキサー音質比較

Mastersounds Radius 4V

Radius 4Vは周波数バランスが非常に良いです。真空管のサチュレーション効果により濃い目のパンチのある音になっているため、例えば、元々倍音成分が多い曲は少々重く感じられますが、アタック感のハッキリした曲では力を発揮します。CDJなどのデジタル音源を利用している場合、レコードよりもアタック感がハッキリしているので、いい感じに音が丸まります。どちらかというとテクノ系におすすめです。

Bozak AR-4

Bozak AR-4

デジタルミキサーと遜色のない高域の伸びで、クリアかつ軽やかな音。濃い目の曲を軽やかに聴かせることが出来るため、アナログ機材でプロセスしたようなLo-Fiな質感の曲にマッチします。高域の減衰がさほどないので、アナログよりデジタルな音が好きだという人にも気に入って頂ける音です。フェーダーも重量感があり、回していて気持ちがいいです。

Condesa Carmen V

condesa carmen v

一聴した感じ派手さがなくクールな印象で分かりづらいのですが、ほどよく色付き、実はかなり深い場所で踊れる音になっています。アイソレーターのオン/ オフができ、アイソレーターをオンにすると音量が上がり、パンチと粘りが増して迫力が出ますが、音のピュアさは若干減少します。なお、アイソレーターをオンにすると位相が反転します。Mastersounds Radius 4Vと同じくアタック感のある音が得意ですが、Radius 4Vと比べると、やや重心が高く柔らかい印象です。

E&S DJR400

E&S DJR400

ローが豊かでハイが落ち着いているため、柔らかい音色です。若干ピーキーな部分もありますが、長時間聴いていられる音です。倍音付加はさほど多くないため、曲を選ばずにどの曲も平均点以上を叩き出すオールラウンダーですが、どちらかと言うとミニマルやテック系よりハウス系によく合います。EQには余計な癖がなく、スムーズに操作でき、アイソレーターの効きも良いです。イメージと操作感に解離はなく、想像した通りの音が素直に出ます。

Rane MP2015

Rane MP2015

フルデジタルとは思えない温かみのある音が特徴です。MP2015のほうが輪郭はクッキリしていますが、E&S DJR400にとても似た周波数特性を持っています。CDJに接続する際にはS/PDIF接続でデジタル転送が出来るため、CDJのD/Aコンバーターによる余分な信号のロスなく高音質で再生出来ます。(好みにもよるので、S/PDIF接続とアナログ接続どちらが良いかテストした方がよいです)倍音成分の付加は少なく、どんな音源にもうまく適応します。滑らかで柔らかい音なので、耳に優しく長時間のプレイでも疲れにくいです。

Varia Instruments RDM40

Varia Instruments RDM40

ルックスからはタフな音をイメージしてしまいそうですが、力強さだけでなく、繊細さも持ち合わせています。タイトでソリッドな音質で、超高域が目立ちシャリシャリしています。各ツマミもオリジナリティのある見た目に加え重厚感があり、キレが良く好印象です。色付けはほとんどなく、どのセクションも高品質で優等生なタイプと言えそうです。他と比べるとほんの少しだけ天井が低いかもしれません。

Isonoe ISO420

Isonoe ISO420

オールトランジスタ回路を用いた類を見ない低歪み&低ノイズに、ローからハイまで過不足のない周波数バランスが特徴。圧倒的な解像度の高さがあり、解像度だけで言えば、これを超えるアナログのDJミキサーは存在しないと思われます。なお、付属のループケーブルはハイ上がりなため、好みに応じてMogami2534などのフラットな特性のケーブルに変えてみるのも良いでしょう。サウンドカラーはなく、無色透明といった質感です。そのためプレイする楽曲の音質が良い場合は良い音で鳴りますが、音の調整が荒い楽曲などは不快なサウンドが目立ってしまうこともあります。EQはナチュラルで緩やかな効きのため、DJでの積極使用というよりは、どちらかと言えば音質調整に使うために存在している感じです。なお、アイソレーターとEQはバイパスすることも可能です。

まとめ

 

以上、ロータリーミキサー音質比較でした。

今回比較した7台のうち、倍音が多く付加される順番でいえば、Mastersounds→Condesa→Bozak→E&S→Varia Instruments→RaneまたはIsonoeになると思います。

DJプレイとなると、イメージと実際の操作のフィット感や、ボリュームカーブの具合、ヘッドホンモニターの聴き取り易さ、アイソレーターのキレ具合、グルーヴ感など、音質以外にもチェックすべきポイントがあり、実際に操作してみないと分からないことがたくさんあります。気になったミキサーがあったら、ぜひ当店のレンタルで試してみてください。