もしもロータリーミキサーに昇圧トランスを使用したら

 

音楽を演奏するうえで、電圧を100Vではなく115Vや200Vに上げると音が良くなるということを聞いたことはないでしょうか?

昔のミュージシャンはよく海外でレコーディングを行なっていたそうです。海外のサウンドエンジニアの腕を求めてということもあるでしょうが、電圧を上げることで音が良くなることを感じていたのだと思います。

実は日本は世界で一番電圧の低い国で、音楽的にはかなり損をしている地域なんですね。

さらに一般家庭の電源プラグは2芯で、コンセントも2芯の差し込み口なので極性を逆に差し込んで使っていても気が付かないという負の側面もあります。

では、昇圧トランス(ステップアップトランス)を使用し、電圧を上げたら音は良くなるのでしょうか?

 

ロータリーミキサーを電圧を上げて聴いてみよう

まずは大前提としてロータリーミキサーが昇圧トランスを使用して問題ないことを確認する必要があります。

ロータリーミキサーによっては、日本国内向けに改造されて100Vのみ対応になっている場合があるからです。

その場合、昇圧トランスを使用すると機器が壊れてしまう可能性があるため、まずは自分の使っているロータリーミキサーが、100V-240V対応など昇圧トランスを使用して問題ないことを確認しましょう。

今回のテストにはIsonoe ISO420 (100V-240V対応) を使用しました。

 

使用した曲はSascha Dive – My Denifition of House Musicです。

100Vと115Vでプレイされた”レコード音源”をWAV 96kHz 24bitで収録し、当ウェブサイトで支障なく再生出来るように mp3 320kbps にコンバートしています。

早速、100Vと115Vで聴き比べてみましょう。

 

100V

 

115V

 

いかがでしょうか?

音の感じ方は人それぞれですから、違う意見もあると思いますが、115Vに昇圧した方が輪郭が明瞭になり躍動感が増しているようです。

しかし、副作用として音のバランスが変わっている部分もあり、これを良しとするかは人それぞれだと思います。

昇圧トランスという余分な接点が増えてしまう関係上、多少の副作用は仕方ないことなのかも知れません。

100Vは聴き慣れた落ち着いた音ですね。

エアードラムやダンスなど自分がリズムを取りやすい方法で確認してみてください。

 

昇圧トランスの選び方や注意点

 

お手頃な商品から高額な商品までありますが、昇圧トランスはどのように選ぶべきでしょうか?

過去高額な昇圧トランスを含め、いくつか試してきましたが、高額だから全てにおいて優れているというわけではありませんでした。

現在はTOEIの昇圧トランスを好んで使用しています。

ここでも個人の好みが関係すると言えますが、それでも必ず抑えておきたいポイントや注意点というのはあります。

 

家のコンセントが2芯か3芯かで選ぶ

 

2芯の昇圧トランス
3芯の昇圧トランス

 

昇圧トランスには2芯のプラグが付いたものと3芯のプラグが付いたものがあります。

家のコンセントの形に合わせて購入するのが良いでしょう。

多くの一般家庭のコンセントは2芯だと思いますが、まれに3芯の場合があります。

 

電源タップや変換プラグを使わない

余分な接点が増えるごとに音質は低下します。

そのため、壁のコンセントに直接昇圧トランスの電源プラグを差し込むのがベストです。

電源タップや、3芯の電源ケーブルを2芯にするための変換プラグはなるべく使わない方が良いです。

 

当店でもプロフェッショナルな環境、一般家庭の環境どちらでも使えるようにと、これまで3芯の電源ケーブルと2芯用の変換プラグを同梱していました。

しかし、変換プラグの使用はデメリットが大きいということで、2芯の電源ケーブルに変更した経緯があります。

 

安全装置付きのものを選ぶ

使い方を間違えると火災事故などにつながる可能性がある商品ですから、だいたいはサーモスタットなどの安全装置は付いていると思われます。

昇圧トランスには電力容量の上限があります。容量上限を超過すると、トランス自体の故障の原因となりますので注意が必要です。

ロータリーミキサーの使用だけなら600VA(W)の容量で十分です。

 

電源プラグの極性に気をつける

実は電源プラグには正しい差し込みの方向があります。

そして、極性を逆にプラグを差し込んでしまうと音が引っ込みキレがなくなります。

電源プラグの極性の間違いは音が悪くなってしまう主要原因の一つです。

なお、コンセントや電源ケーブルは意外と適当に作られていて、本来良しとすべき方向とは逆に取り付けられていることがありますので、最終的には耳で判断するか、極性テスターなどを使って確認する必要があります。

 

まとめ

 

昇圧トランスを使用すると明瞭度が増し、ダンスを促す推進力となりました。

しかし、同時に少しの副作用もあるため、必ずしも100V→115Vへの昇圧が正解ということではなさそうです。

個人の好み、環境によってケースバイケースだという結論になりました。

もし可能なら昇圧トランスを介さずコンセントから直接115Vや200Vを出力出来れば、より理想的な音に到達出来るかもしれませんね。